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「あおもり藍」の可能性は無限大。
ブランドを育て、盛り上げる中心拠点を

ショップ経営者福士 珠美さん
株式会社BLUE LINK PROJECT
代表取締役
福士 珠美さんMasumi Fukushi

青森テレビ入社後、アナウンサー、報道記者、番組プロデューサーなど、多様なキャリアを積む。

2020年11月にBLUE LINK PROJECTを創業。翌月、あおもり藍の商品ラインナップを取り揃えた専門店をオープン。ショップ運営のみならず、商品開発、海外展開におけるコーディネイトなど、青森ブランドのトータルプロデュースを展開。

「あおもり藍」は、青森の宝。多くの人に届けたい

いま、青森独自の技術を使った藍染めに、熱い視線が注がれていることをご存じですか? 藍は津軽で昔から栽培されてきましたが、時代の変化とともに途絶えてしまいました。それを現代によみがえらせたのが、あおもり藍産業協同組合(以下「組合」)。休耕田を活用し、農薬を使わずに育て、地域ブランドとして復活させました。藍の葉を熟成・発酵させて染料(藍玉)をつくる従来の技法と異なり、パウダー化したことで抗菌作用の強い染め物に仕上がります。

これまで藍の有効成分を抽出するには、石油系有機溶媒を使うのが一般的でした。しかし大学との共同研究を経て、柑橘系の天然由来成分で抽出することに成功。その結果、肌にかかっても口に入っても安全な消臭・抗菌スプレーをはじめ、多彩な衛生用品が誕生しました。

あおもり藍は、食品としても優れた効能があります。活性酸素を除去するポリフェノールを豊富に含み、抗酸化作用によるアンチエイジング効果やコレステロール低減効果も期待できます。食品に限らず、健康・医療分野でも応用すべく、現在もさまざまな研究が行われています。

私自身、手指消毒やうがい、生ゴミの匂い消し、美容液代わりにと、暮らしのあらゆるシーンであおもり藍エキスを活用する、熱烈なファンのひとり。その熱が高じて先ごろ、あおもり藍の専門店をオープンしました。「青森の宝」と呼ぶにふさわしい、無限の可能性を秘めたあおもり藍。その魅力を発信し、多くの方に知っていただくため、人生で初の起業にチャレンジしたのです。

ひらめきと情熱、人生の流れに導かれ、起業の道へ

私はもともと起業家志望ではなく、30年以上、青森テレビに勤めていました。あおもり藍と出会ったのは、2010年に宇宙飛行士・山崎直子さんのスペースシャトルの船内着として採用されたときのこと。その計り知れぬパワーに強い興味を抱き、以来、番組を4回つくりました。

取材を重ねるうちに組合の方と親しくなり、海外の商談会のお手伝いもさせていただくようになりました。その後まもなく、知り合いのブティックが閉店すると聞いたとき、不意に「このスペースを使って、あおもり藍の専門店を開いたらどうだろう」とひらめいたんです。起業への想いが、一気に加速した瞬間でした。

そこで、店舗の改装費と商品開発費の半分が補助される制度を使って、起業の準備をすることに。この制度は銀行からの融資が前提だったため、早速青森銀行さんに相談しました。地域産業を盛り上げることに熱心で、立ち上げ当初から組合を支援していることを知っていたからです。あふれるほどの情熱だけが頼りで、経営のイロハも知らない私に、「小売業の基本とは?」「収支計画で押さえるべきポイントは?」と、手取り足取り教えてくださいました。

ありがたいことに、いまでは青森銀行さんとは友だちのように何でも話せる間柄です。会話の流れで未来の話へと発展し、そこからビジネスのアイデアが浮かぶことも珍しくありません。

あおぎん応援団より
青森銀行 本店営業部
畑中 裕介

明確な事業コンセプトと、高い将来性。
創業にあたっては、収支計画を中心に支援いたしました

最初に見せていただいた福士さんの事業計画は、やりたいことやコンセプトがとても明確でした。テレビ局時代に築かれた人脈や経験は大きな強みであるとともに、「それまで複数店舗に点在していたあおもり藍の商品群を、一堂に集めた専門店」という他社との差別化ポイントもありました。そこで私たちも、喜んで「新ビジネス挑戦支援助成金」申請のお手伝いをさせていただくことに。長期収支計画など、福士さんにとって不慣れな「数字の領域」は、こちらが主導して内容を詰めていきました。

青森発のブランドを世界にアピールする、発信拠点に

事業計画策定の際、柱に据えたのは「1:店舗での小売り」「2:商品開発」「3:海外展開」。ここに来ればあおもり藍のすべてがわかる場所、そして、あおもり藍を活用して何かしたいと考える企業や人が集う、よろず相談所のようなショップを目指しています。ほかにもあおもり藍のお茶とお菓子を地元メーカーと一緒に開発したり、メディアで長年培ったネットワークを生かして、企業や行政に働きかけたりと、現在も複数のプロジェクトを進めています。

事業の三本柱に横串を通すものとして、私の一番の強みである映像制作があります。あおもり藍をPRする映像をつくって発信することで、「染めてよし、食べてよし、機能性製品としてよし」と何拍子も揃ったあおもり藍の奥深い魅力を、あますところなく伝えられると思うのです。

ショップには、「BLUE LINK PROJECT」と名づけました。「BLUE」は“あおもり藍”と“青森”の青、「LINK」は人やモノ、アイデアとのつながりを意味しています。この店が拠点となり、さまざまな出会いとつながりに助けられ、青森が誇る物産やブランドが大きく羽ばたいていけば――。その願いを形にするために、私が先陣を切って発信役を担っていきます。

あおぎん応援団より
青森銀行 本店営業部
畑中 裕介

創業者さまの「人生をかけた夢」を応援したい。
だから、苦手分野は私たちにお任せください

可能性に満ちた「あおもり藍」という素材を、福士さんならではの発想と行動力でプロデュースするのは、青森県全体にとってもすばらしいことです。創業は、その方の人生をかけた夢への挑戦です。私たちも全力で支援しますし、絶対に成功していただきたい。だからこそ、創業者さまのビジョンや意向を汲んだうえで、ときには厳しい言葉をお伝えする場面も出てきます。
創業者さまの苦手な分野をサポートすることこそが、青森銀行の役割。起業を考えている方は、粗削りな状態でも躊躇せず、ぜひ私たちにご相談ください。